
東京大学先端科学技術研究センター(所在地:東京都目黒区、所長:宮野 健次郎)の中邑 賢龍(なかむら けんりゅう)教授らの研究グループとソフトバンクモバイル株式会社(本社所在地:東京都港区、社長:孫 正義)は共同で、「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」(携帯電話を使用した、障がい児のための学習支援の事例研究プロジェクト)を本日より開始します。
同プロジェクトは、障がい児(特に認知やコミュニケーションに困難のある障がい児、読み書き障がいや自閉症、知的障がい、肢体障がいを含む)の学習支援において、携帯電話の活用方法とその有用性について事例研究を行います。
研究結果をまとめた事例集を作成・公開し、教育機関や障がい児の親たちに対して、携帯電話の有用性の広い認知につとめます。
携帯電話が障がい児の生活や学習の質の向上に役立つ事例が広く認知されることで、障がい児の社会参加の機会が増えることを目指します。
セミナー開催などの啓発活動を通じて、携帯電話の機能が学習支援に結びついた具体的な例を紹介・発表していく予定です。
携帯電話が障がい児の生活や学習に役立つ活用事例を広く紹介することで、障がい児の学習機会を増やし、社会参加を促進することを目指します。
携帯電話を使った、障がい児のための学習支援の事例研究を行います。
知的障がいのあるA君は通学途中、電車を降り忘れ、知らない町で迷子になってしまいました。しかし、携帯電話を他人に渡して、どこにいるのかを家族に説明してもらい、無事に迎えに来てもらいました。携帯電話があることで本人にも家族にも安心感が生まれ、一人で通学できるようになりました。
書字障がいを持つBさんにとって、ペンや鉛筆で字を書くことは難しいことです。読むことは流ちょうにできるのですが、学校のノートや連絡帳の記入など、みんながメモをとっている場面では辛さを感じています。ところが、携帯電話のメモ機能を使用することで、自分でも漢字交じりの文章を書くことができ、自信を取り戻すことができました。
自閉症のあるC君は、授業や休憩の残り時間を「あと○○分だよ」と言われても、時間感覚を把握することが苦手なため、いつまで待てばよいのか分からずにパニックを起こしてしまいがちです。そこで、携帯電話のグラフィカルタイマーで残り時間を視覚的に表示したところ、安心して時間を過ごすことができるようになりました。
自閉症のあるD君は、自分が考えていることを、発話して言葉(音声)で伝えることが苦手です。そこで、自分がやりたいことや気になっていることなどを携帯電話で写真に撮り、その写真をクラスメートに見せるようにしたところ、学校でのコミュニケーションの幅が広がりました。
今後も、携帯電話が学校での学習や生活の助けとなっている事例を収集・分類し、さまざまな障がいがあるために、学校での学習や生活への参加に困難を感じている児童・生徒に役立つ、携帯電話の活用方法をまとめていきます。
全国5箇所(香川県、和歌山県、山口県、愛媛県、北海道)の障がい者施設学校
2009年6月〜2009年9月末まで
本プロジェクトは、さまざまな機能やアプリケーションの詰まった携帯電話を「魔法のポケット」に例えて名付けられました。かつては音声を伝えるだけだった携帯電話は、電子メール、デジタルカメラ、計算機、タイマーやスケジュール管理、音声レコーダ、電子辞書など、今やさまざまな機能を集約したツール(魔法のポケット)となっています。

また、プロジェクト名の一部である「あきちゃん」は、音声でのコミュニケーションが苦手で発達障がいのある実在の方からとっています。今のように携帯電話に各種機能が搭載されていなかった頃から、携帯電話や計算機、ワープロ機能のある小型情報端末など、さまざまなツールを組み合わせて独自に周囲とのコミュニケーション方法を編み出し、学校や日常生活、アルバイトなど、さまざまな場面へ社会参加していました。今では一台の携帯電話にそういった各種機能が集約されているにも関わらず、障がい児にとっての「自分なりのやり方」が知られていないため、その機能も活用されないままという現状があります。
本プロジェクトは、「あきちゃん」のように携帯電話などの小型情報端末を使用することで、学校や日常生活で感じている困難を減らし、社会参加の場を広げて欲しい、という願いと親近感を込めて命名されました。
以上